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7月
23

こえでおしごと

こえでおしごと!(2) (ガムコミックスプラス)

著者/訳者:紺野 あずれ

出版社:ワニブックス( 2009-06-24 )

コミック ( 177 ページ )


女子高生(女子校生ではない)にエロゲの声優をやらせる――。捕まるとすれば児ポではなく、青少年保護条例か労働基準法だな。本文でも書いてあるけど16歳のエロゲの「声優」を取り締まる法律は明確ではないようだ。学生という身分なら何かには引っかかるだろうけど、少なくとも法律上結婚のできる年齢であり、職業として選んだ場合は余計なお世話でしかない。児ポだって、女性の結婚可能年齢を18歳まで引き上げなきゃ整合性はないんじゃねーのか? いや、オレは法学者じゃねーけど。ま、とりあえずは廃案だが。

『こえでおしごと』。
女子高生が声優をやり、それをとおしていろいろな人に出会い成長していく、とまあ、こういうストーリーではあるのだが。エロゲの声優でなくても「いまのところ」問題なさげだが(登場人物が内輪の人間ばかりだしな)、今後同年代のライバルや、親友や学校にバレる危機なんかもパターンとしてはあるわけだが、ものはエロゲなだけにどういう落としどころを見せてくれるのか作者の今後に期待。

よくネタを提供してもらってる会社の先輩は声優というとまず戸田恵子を挙げる。「やっぱ、マチルダさんだろ?」ということらしい。オレの場合は丹下桜(漢字の時代)を挙げるね。DOA2の霞の声でトリップしたのさ。
そのちょっと後から「アイドル声優」という売り出し方が出てきて、現在も一線級で活躍している「ルックスもいい」声優たちが登場しブームとなるわけだが、専業のアイドルとはきれいに住み分けられていた。声優たちはそれまではメディアにほとんど顔をさらしていなかったわけで、それ以前の声優のルックスが悪いかどうかは不明だけれども。
まあ、アイドルから声優への転身した櫻井智なんかは最初からものが違うわけだし、そもそも戸田恵子だって似たような経歴だ。

賛否両論がある「アイドル声優」だが、ずっと裏方だった声優という職業にスポットが当たるというのは素直に喜ぶべきことだ。
彼らは非人間にすら声を当て感情を表現しなければならない。ものすごい技術だし、そのレッスンだって生半じゃないだろう。舞台俳優と同じように研究所などの養成システムを経てメジャーに出てくる人たちだ。たまに「ただの」テレビタレントがゲームやアニメの吹き替えをしているのを聞くとやっぱり差が歴然としている。うまい俳優などはやっぱり声をあてるのもうまいんだけれど。アフレコとかで慣れているのかもしれない。

そこでエロゲ。
エロゲに声が入るよりはカセットやダイアルQ2やラジオたんぱの放送などのほうがアダルトな音声コンテンツとしては早いらしい。
アダルト方面の音声に対する質への要求も上がっただろうし、声優の質も上がっただろう。「うなじだけで勃たせる」女優がいるならば「声だけでイかせる」のが声優。特殊スキルかもしれない。
ドラマCD関連としても同人・プロダクト問わず結構な量が出ている。都築真紀プロデュースのFunny Pinkとか。

エロゲといえども会話部分などはアニメやゲームと変わらないので当然通常の声優スキルもなくてはお話にならない。ポルノから大女優になった人たちのようにエロゲの声優もがんばってほしいものだ。

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6月
28

科学がSFを超える日―萌え萌え未来科学講座―

科学がSFを超える日―萌え萌え未来科学講座―

著者/訳者:未来科学講座制作委員会

出版社:イーグルパブリシング( 2009-06-25 )

単行本(ソフトカバー) ( 192 ページ )


30年くらい前の「なぜなに少年少女科学図鑑」といったところか。
トピックのセレクトがありきたりすぎ、イラストのテイストもステロタイプ過ぎる。
3分の1を費やしたSFの資料編もボリューム不足。
イラストでちょっとは萌えても、内容的には小学校高学年から中学校向け。ラノベ以外のSF小説をはじめて読む人向けの本だ。

まず年表が2000年で止まっている。21世紀に入ってからの重要な科学的なトピックやラノベ、マンガの方向などにまるで言及されていない。『銃夢』に触れていない時点でこの本の目的があくまで「古典SFへの招待」ということがわかる。
その視点で見れば紹介されている作家も納得がいく。ティプトリー、イーガン、ソーヤーあたりはちょっと違うか。ベイリーやコードウェイナー・スミスは紹介したくてもできなかったのだろう。

たとえば庵野秀明からの流れで古いSFを調べることはあるだろう。しかし科学的トピックからSFに言及するのは小中学校の自由研究程度のものじゃないのか。
レベルとして中途半端。歴史を追ってSFを読みたいなら野田大元帥の諸作かヨコジュンか『小松左京のSFセミナー』でも古本屋で探して読もう。
この本の内容自体古書っぽいけどさ。読んだのが「かぐや」の月面映像を見たすぐあとだったから余計そう思うのかも知れない。

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6月
14

画集 おとなの萌王 重版出来

画集 おとなの萌王 (MOEOHセレクション)

出版社:アスキーメディアワークス( 2009-05 )

大型本 ( 128 ページ )


先月発売以来速攻で売り切れていた『画集 おとなの萌王』、重版ができたようだ。
Amazonで予約していた物がようやく届いた。

『電撃萌王』のイラストを110点集めた画集なわけだが、当たり外れ、というか好みがあるのでなんとなく2,940円は高いぜ、という印象。
判型が大きくて見応えはある。様々なテイストのイラストレーターが描いているので、立ち読みをしてから買うことをオススメする。表紙の涼香や本誌のみやま零だけのイメージで買っちゃうと後悔するかも知れない。参加作家は電撃萌王ブログを参照のこと。
オレはストライクど真ん中のchocochip製メイドさんがあったのでほぼ満足。あと椿あすのメイドが牛柄だったのが新鮮。
超メジャー級はきみづか葵くらいか。ミヤスリサトモセシュンサクなどビッグな仕事はあまりないけど評価の高いイラストレーターが集まった感じ。中には手抜きと思われる絵もあったりして原稿料安いんじゃねーかとかんぐったり。

まとめて見るとそんなにエロくないですよ?
涼香の表紙画のウラバージョンが一番エロいかな。あとは、まあ「ちょっとエッチ」レベル。ジャンプで『To Loveる』なんてやってるんだから、別に問題はないだろう。

あとは各イラストレーターのサイトのURLぐらい書いておいてくれればな。もっと役立つものになっていたかも知れん。

電撃萌王ブログ(画集 おとなの萌王重版のお知らせ)external

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3月
10

もうひとりのアリス

ときめきアリス―定本 (LEGEND ARCHIVES―COMICS)

著者/訳者:吾妻 ひでお

出版社:チクマ秀版社( 2006-06 )

単行本 ( 206 ページ )


萌えの源流を吾妻ひでおに求めるのは間違ってはいないだろう。
『陽射し』や『海から来た機械』などの不条理SFもの、『ふたりと5人』からはじまるスラプスティックもの、そして『失踪日記』以降の作品。
萌えの視点から見ればスラプスティックなものが重要視されることはいうまでもない。

遠く1980年代、久保書店の「レモンピープル」あたりから、それまでの成人マンガとは違い絵柄が少年/少女マンガのまま成人向けの内容に移行した作品が出始める。吾妻も少年チャンピオンというメジャー出身にも関わらず寄稿する。コミケでそういう本を販売するメジャー作家も吾妻が最初だったらしい(wikipediaより)。
このころ、いのまたむつみなども「幻夢戦記レダ」や「プラレス34郎」などで注目される。成人テイストの高いレモンピープル系のコミックを「ロリコン」、いのまた、平野俊弘や美樹本晴彦などアニメ系は「美少女」などと呼び分けていたようだ。「カリオストロの城」のクラリス萌えを「ロリコンではない」と強く否定している文章もよく目にとめる。吾妻はその境界あたりで活動した一大ビッグネームだった。

吾妻の描く「美少女」にスポットが当たり始めたのは「スクラップ学園」(1981年月刊プレイコミック)のミャアちゃん(ヒロインの猫山美亜)あたりだったのではなかろうか。当時のアニメージュは「ロマンアルバム」というムック本をよく出しているが、それと同じ判型で秋田書店よりムック(『ミャアちゃんラブワールド』1983年ASIN:ASIN:B000J7DTIE)が出ている。
そして同時期に発表している「ななこSOS」を持って頂点を迎える。
1983年にアニメ化されるが吾妻の不条理さ、度を超えたスラプスティックさがテレビ放送という制限でトーンダウンしている。DVDレンタルで借りられるので興味のある向きはそちらでどうぞ。原作は早川書房からJA文庫として復刻されている。
原作でななこのプロポーションの変遷を追うと面白い。連載開始当初はまるっきりギャグマンガの等身でディテールなども省略が多いが、完結する頃は等身が上がり「グラマー」になっている。現在のギャルゲーなどのヒロイン像はこのななこを今風のアニメーション技術で再構築したものだというのは言い過ぎだろうか。

『ときめきアリス』。
80年代の少女マンガ系の最高峰がプチフラワーならば少年/青年マンガ系の最高峰は双葉社のスーパーアクションだ。
スーパーアクションには大友克洋、星野之宣、諸星大二郎などそうそうたる連載陣を抱えていた。そのなかでいくぶん軽めの「アリスは~」ではじまるタイトルを持つ吾妻の連載を集めたのがこれ。「定本」と付くのは2005年復刻で『失踪日記』でカムバックを果たした吾妻によるおなじみの独白ページとイラストページが付いているから。
ストーリー的には不条理SF路線にギャグ+エロを盛り込んだもの。たぶん、当時の吾妻はこれを力を入れず描いていたのだろうが、脂ののりきっている余裕が感じられる。
今読んでもスーパーアクションでも確固とした存在感があり、まさしく全盛期だったことがわかる。

リアルタイムで吾妻ひでおを読んでいた世代はすでに40代とかだが、「公式ホームページの日記に出てくるちかちゃん(吾妻氏のむすめさん)が成長していて時代の移り変わりを実感した」とかいっている。まさしく時代の主役だったんだな。

吾妻ひでお公式HP
吾妻ひでお公式HPexternal

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3月
9

ふたりのアリス

POPと木下さくら。「もえたん」と「魔探偵ロキ」といったほうがとおりがいいだろう。
かたや水彩画のような淡い色遣いのアリス。かたや高コントラストのメリハリの利いたアリス。

ふしぎの国のアリス (POP WORLD)

著者/訳者:はやの みちよ

出版社:ポプラ社( 2006-04 )

大型本 ( 39 ページ )


「もえたん」にみるように淡い色彩を多用するPOP画は児童向けに適している。が、児童向けに徹するには技巧的すぎるかも知れない。
多少ヘタウマなほうが子供には親近感がわく(という大人の思い込みかも)。
そもそも「不思議の国のアリス」という題材が大判の絵本に合うかどうかが一番大きな問題で、ストーリーとしてはダイジェストとしても物足りない内容になっている。
親のストーリーテリングの添え物として活用すべきか。その使い方ならばPOP画は最強であろう。ここでのPOP画はあくまで「挿し絵」である。

不思議の国のアリス

著者/訳者:木下 さくら ルイス・キャロル

出版社:幻冬舎コミックス( 2007-09 )

コミック ( 79 ページ )


一方、木下さくらver.。
「魔探偵ロキ」開始当初は白黒の美しいコントラストでゴシックホラーかくありなん、という感じだったんだが、絵がうまくなるにつれ語り口が軽妙になりコメディー色が濃くなっていき、最後にはありきたりのマンガになってしまった。
が、しかし、白黒であるが故のまゆらやフレイヤの美しさ色っぽさは印象深い。
カラーの使い方も、コントラストが高く、ブラウンや緑などが色調、明度を落として使うなど、センスのよさがうかがえるものだった。
今回の「アリス」についてもPOP版が王道をいく童話ならば木下版は異聞とでもいおうか。
各章ごとに服装、髪型、髪の色まで変わるのに加えて、コミックのようなコマ割(というか幻冬舎「コミック」だ)、「ロキ」のようなぼやきがふんだんに使われ、「大人のためのアリス」というニュアンス。

POP版についてはアルターよりフィギュアも発売していた。POPといえば森川裕光。

ElectromagneticWaveexternal
「駄犬マーサ愛護団体」external
ALTER Co.,Ltd
アルターexternal

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12月
26

萌え萌えランジェリー図鑑

女性下着の知識を必要とする男は結構いるものだ。絵を描いたり、写真を撮ったり、立体造形したり、文章を書いたり。少女マンガを読むだけでも基礎的な知識があるとないとでは大違いだったりする。

ではその知識をどこから手に入れるか。親しくない女性には聞けないな。しかし親しい女性がモデルとして満足できるほど多くの種類の下着を持っているとは限らないし、その女性の好みの傾向と必要な下着の傾向が合わないかも知れない。
下着メーカーのカタログを見ても、靴などのアイテムと抱き合わせで、下着のページは驚くほど少ない。注文の注意事項として採寸のしかたなどが載っているだけで、資料的価値はほとんどない。体系立てて書いてあるハンドブックが必要だ。

萌え萌えランジェリー図鑑

著者/訳者:ランジェリー図鑑制作委員会

出版社:イーグルパブリシング( 2008-03-24 )

単行本(ソフトカバー) ( 192 ページ )


『萌え萌えランジェリー図鑑』。
イラストなのでイラストレーターの主観が入っていてビジュアルな資料としては微妙かも知れない。
wikipediaの女性下着の関連項目を集めたような感じ。深すぎもせず浅すぎもせず。より深いレベルが必要ならばここからググっていけばよいだろう。
紋切り型であまり役に立たない「利用場面」と意外と役に立つ「参考価格」、本当に役に立つ「主な素材」の三項目がこの図鑑の特徴。
記述内容が正しいか検証しているわけではないが、項目の網羅性というところでは及第点。販売店だけではなく参考サイトのURLくらい載せて欲しいと思うがどうだろう。下着デザイナーについて、流通経路、統計情報などの周辺情報が充実すればもう少し高くてもよい。これで1,500円はイラスト集としての値段では高すぎるかも知れない。判型小さいし。

この『萌え萌えXX図鑑』というのはシリーズになっている。妖精、制服、格闘技、魔法、武器。どうみてもサブカル方面のクリエイター向けのラインナップで、下手に政治その他の色を付けずハンドブックに徹するのが潔い。新紀元社の「Truth in fantasy」シリーズくらいの記述レベルを求めるのは酷か。メインがイラスト集だしな。

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12月
25

俺の妹がこんなに可愛いわけがない

「甘えられたい」「守ってあげたい」、そういう被保護者の存在でアイデンティティを確立するのが「妹萌え」、というのはいささか穿ちすぎだが、「妹」というのが保護欲の対象を象徴するワードとして扱われているのは間違いない。
心理学的考察なんて、それこそフロイトやユングしか知らなくても論拠を探すのになんの苦労もいらんので省略。

「妹萌え」というのはこの「保護欲の対象の象徴」としてとどまっているのが大半で、血縁と恋愛関係のインモラルさに酔うところまで行き着くケースは少ない。そういうのは三島か夢野かフェアリーダストにでもに任せて、ここでは『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』をピックアップ。

俺の妹がこんなに可愛いわけがない〈2〉 (電撃文庫)

著者/訳者:伏見 つかさ

出版社:アスキーメディアワークス( 2008-12-05 )

文庫 ( 372 ページ )


リアル妹がいないのでなんともいえないが、「あー、ありそう」と納得してしまうシチュエーション。
妹がツンデレというのは珍しくもないが、「デレ」加減が絶妙。普段は兄を罵る、にらむ、シカトする。でも秘密をカミングアウトするのに兄を選ぶ「デレ」。いや「デレ」ではないな。最後の最後で存在する「信頼」。主人公が自分で言うように「どうでもいい」と思っているからカミングアウトするではなくて、どうなっても最後には味方でいてくれるはずの兄への信頼。で、マニアの習性で、自分の趣味に引きずり込もうとするのな。本当に嫌いならばシカトし続けますって。
兄のほうも同じようなもので可愛がりたくてしょうがないのに、嫌いだといい、最低限のコミュニケーションしかとらない。意地っ張りの似たもの兄妹。
兄の一人称で小説は書かれているが、この兄妹の母親になったつもりでニヤニヤしながら読むのが吉。

SFやファンタジーじみた設定はないが、キャラクターが立っていて、物語にもメリハリがあり読後に爽快感が残る。2008年最大の収穫と言ってもいいだろう。読むべし。

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3月
5

クイーンズゲイト「恩を返すもの いろは」

クイーンズゲイト 恩を返すもの いろは (対戦型ビジュアルブックロストワールド)

著者/訳者:唯々月たすく

出版社:ホビージャパン( 2008-04-18 )

単行本 ( ページ )


昔ナコルル、今いろは。
サムスピのヒロインはいろはにすっかり変わってしまった感がある。考えてみればいろはなんて最後の一作にしか出てないのになあ。

本来の使い方なんて誰もしていないと思われる「クイーンズブレイド」。つい最近まで本家はメガハウスのフィギュアのほうだと思っていた(笑)
毎度色っぽいイラスト満載のクイーンズブレイドだが、その派生品「クイーンズゲイト」のほうの新作が今度はサムスピのいろはである。

イラストは唯々月たすく。

メイドカチューシャにミニ丈女給服、なぜかニーソで赤い鼻緒の下駄、大きく開いた胸もと、トンデモなキャラ設定、ねらっただろSNK? というキャラが唯々月たすくの絵になるわけだ。公式ページの絵を見ただけでこりゃ売れるなという確信が持てる。もちろん予約済み。

クイーンズゲイトシリーズの前作が虹原いんくだったのも驚いたが、ここでいろは投入とは予想外。さて次はなんだろうな。


クイーンズブレイド公式ホームページ


天々風々(唯々月たすく氏のサイト)

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11月
19

ワンダービット/島本和彦

ワンダービット2 (MF文庫 9-8)

著者/訳者:島本和彦

出版社:メディアファクトリー( 2007-09-01 )

文庫 ( 304 ページ )


15年前のアスキー出版の雑誌は勢いがあった。月刊アスキーは広辞苑かと見まごうほど厚く(ちょっと大げさ)、広告も多かったが記事のクオリティーが半端じゃなかった。なんていうか中身が「濃い」のだ。MacPowerしかり、EYE・COMしかり。アスキー系の雑誌を読んだあとはソフトバンク系の雑誌など読む気がしなかった。
アスキー系の雑誌の特徴は編集者が表に出ることだ。中でもログインが顕著。あの頃のログインは現在のログインの3倍は「変な」雑誌だった。編集者のほとんどがニックネームを持ち、記事の端々、ときにはど真ん中に登場していた。半分ノリで作ってんじゃねーの、というライブ感が熱かった。
そんな状況で連載に島本和彦を採用するのはいわば必然だったといえよう。萌えというより燃え。

『ワンダービット』、今読み返すとギャグありの『ザ・クレーター』のような印象。
SFの短編マンガというもの自体が希少な存在だが、手塚治虫、藤子不二夫、萩尾望都が少年マンガ誌に描いたものとならんで五指に入る作品ではないか(もうひとつはふくやまけいこがSFマガジンに書いていたヤツ)。

ログイン掲載時から好きだった「山ちゃんと魔法のランプ」。
願いを1万個増やす願いをした山ちゃん。ところが3千個ぐらいで欲しいものを全部手に入れてしまい無気力な日々を送る山ちゃんは残り全部で生きがいを与えてくれとランプの精に願う……。島本節全開である。
正義の味方が多数集まり「正義」について議論するがコンセンサスが得られず煮詰まってしまう話、東京に上陸した巨大怪獣と巨大化した女子プロレスラーが戦う話、自由意志を持った電化製品の話など、今読んでもまったく陳腐化していないのが驚きだ、というか、良質のSFであることの証明だろう。
必読。

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10月
19

百合の入門書『少女美学』

参加できないもどかしさと究極のプラトニックへの憧れ、倒錯の香り。BLを受け付けない一般のヘテロ染色体保持者も「百合」にはなぜか垣根が低い。
かといって、遺伝子に組み込まれているノーマルな恋愛と違い、それに対する情緒や、またその心理的機微なんてのは容易に理解できないのも確か。

少女美学 (Yuri-Hime COMICS)

著者/訳者:CHI-RAN

出版社:一迅社( 2006-09-16 )

コミック ( ページ )


『少女美学』。
著書にずらっとBL系のコミックが並ぶCHI-RANが雑誌「百合姫」に連載していたもの。
絵柄的にはポップでオサレ系。BLのときのシャープさや太さよりかわいらしさが強調されているっぽい。
内容的には、もちろん女子-女子の組み合わせによる世間の価値観との葛藤、カミングアウトするまでの紆余曲折はあるけれども、女子-女子の片方を男子に変えてもあまり違和感はなさそう。

それは恋愛の心理描写が「なかよし」レベルだから。否定的な意味ではなく、そのレベルのものが出てくることは一般化のひとつの過程だから。いままでの百合ものというとほとんどレディースコミックしかなくて、心の成長過程で必要なさまざまなレベルのものが書かれていなかった。非常に画期的なことなのではなかろうか。

一般少女マンガと混じっていてもさほど違和感はないかもしれない。少女マンガのリリックなレトリックを受け付けるならば一般男子でも抵抗なく読めるだろう。百合の入門におすすめ。

次は『くちびるためいきさくらいろ』で「花とゆめ」レベルに進もう。

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